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『きみは太陽のようにきれいだよ』チェマ・エラス作/ロサ・オスナ画

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あらすじ

広場でパーティが開かれることを知ったホセは、妻のアナを誘います。しかし、あっさり断られてしまいます。「もうおばあさんだから」と。けれど、あきらめきれないホセは──。


インプレッション

ダンスの前に、心はもう踊っている

タイトルからストーリーが想像できるでしょうが、まさしくその通りの内容で、ひたすら口説いて口説いて、とにかく口説きまくる絵本です(老いた夫が、老いた妻を)。それもストレート一本勝負で、駆け引きなどは一切ありません。パーティへの参加を渋る妻を、夫が「これでもか!」と言わんばかりに、押して押して、押しまくります。

驚くなかれ、本当にもう、ただそれだけの作品です。ちなみに二人とも、初老とは呼べないほど、見た目には老いています。日本的な感覚からすると、「いい歳して一体なにを……」と思ってしまいますが、そこはやはり情熱の国です(※作者のチェマ・エラスは、アビラ出身のスペイン人)。

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はじめのうちはどうしても、二人のやりとりを冷やかし気分で眺めてしまいます。けれどもやがて、寄せては返す波のような会話が、シンプルながら段々とうねりを増していくさまを見るにつれ、サグラダ・ファミリア的な何かを感じるようになります。国籍や年齢や性別に関係なく、思わず「何だ、これ!?」と、言いたくなるような何かです。「夫も夫だけど、妻も妻だね~」といった呆れを、いつからか通り越してしまうのです。

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もう最初からネタバレ全開のような本なので、ここでバラしてしまいますが、最終的にこの二人はパーティに参加します。特に驚くようなことではありません。むしろ、当然そうなってしかるべき結末で、逆にそれ以外のエンディングは考えにくいでしょう。

そんなことより注目したいのは、ひたすら口説き続けた夫のアプローチにあります。彼はさんざん言葉を尽くしているようでいて、ド定番のセリフであるところの、「可愛いね」も、「好きだよ」も、「愛してる」も、言いませんでした。では、何と言って口説いたのでしょう? あるいは、どのようなスタンスで妻に接したのでしょう? おそらく、そちらの方が真のネタバレになるでしょうから、ここには書きません :-)

作品情報

『きみは太陽のようにきれいだよ』(Abuelos)
作者:チェマ・エラス(Chema Heras)
挿画:ロサ・オスナ(Rosa Osuna)
翻訳:福原麻希
出版:童話屋
初版:2007年(日本語版)

きみは太陽のようにきれいだよ

きみは太陽のようにきれいだよ

Abuelos

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